【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉
わたしはその日、日向と付き合うことになった。
「門野さん、すみません。……わたしやっぱり、門野さんとは付き合えません」
その翌日、わたしは出勤してきた門野さんを呼び出して、そう告げた。
「……笹野」
「門野さんの気持ちはとても嬉しかったです。……正直に言うと、すごく揺れてしまいました。一瞬でも、門野さんとなら幸せになれるかもしれない。本当にそう思いました。……だけどわたしは、やっぱり日向のことが好きなんです。 日向じゃないと、ダメなんです……。だから、門野さんとは付き合えません。すみません」
わたしの正直な気持ちを伝えると、門野さんは残念そうに笑って「そうか……。やっぱり俺じゃ、ダメなのか」と言った。
「……すみません」
出来ることなら、門野さんにこんな顔、させたくなかった……。
その顔を見るだけで、苦しくなるし、切なくなるから……。
「仕方ないさ。……笹野の選んだ人だしな」
「……門野、さん」
どうして門野さんは、こんな時までわたしに優しくしてくれるのだろう……。
そんなに優しくされたら、申し訳なくなるのに……。