【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉


 そしてその日、あの白骨遺体の身元が判明したのだった。

「お、小野田課長、大変です……!」

「どうした?笹野。そんなに慌てて」

 小野田課長は、不思議そうにわたしを見ていた。

「あ、あの白骨遺体の身元が……」

 わたしがそう言うと、近くにいた門野さんがわたしに近付いて「笹野。もしかして、あの遺体の身元が分かったのか?」と聞いてきた。

「は、はい……。あの白骨遺体の骨折していた箇所を照らし合わせて、診察をした病院を突き止めた所……。その患者のカルテを、入手することが出来ました!」

 わたしはカバンからそのカルテのコピーを取り出すと、目の前にあったホワイトボードに貼り付けた。

「何!? 本当か、笹野!?」

「はい。間違いありません! しかもあのご遺体は、10年前に行方不明になっていたリストに載っていた人物でした。念の為鑑識に調べてもらった所……。名前や骨格、年齢や身長などから割り出される身体的特徴も、全て一致しました」

 わたしは鑑識から送られてきたそのファイルをコピーしたものを、ホワイトボードに貼り付けた。

「その人物の名前は……」
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