【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉
わたしはホワイトボードに、その名前をゆっくりと書いた。
「え!? おい、間違いないのか?」
小野田課長が、驚いたような表情でわたしを見ていた。
そして強行犯係の部屋は、ざわざわと雑音がはじまった。
「間違いありません。あの白骨遺体は……。天王寺、ミツグです」
天王寺ミツグ。12年前に起こった無差別毒殺殺人を起こした犯人。……そしてその事件の後、天王寺ミツグは行方不明になり、家族から被害者がでていたが、行方が分からないまま今まで見つからなかったのだ。
天王寺ミツグは、あの行方不明者リストの中に載っていたのだ。そして天王寺ミツグは、あの事件の後2年後の、10年前に亡くなっていた。
自殺なのか他殺なのかは、分からない。……けどその事件はすでに、時効が成立していた。
「天王寺……ミツグ」
「小野田課長は、当時天王寺ミツグの事件を担当していたんですよね?……資料室で、その記事の内容を読みました」
すると小野田課長は「そうだ。俺が担当していた。捜査の段階で、天王寺ミツグが容疑者として浮上した。……しかし天王寺ミツグは逃走した。そして行方不明になった」