【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉
小野田課長の言葉に、わたしたちは全員……。息を呑んだ。
「天王寺の行方が分からなくなり、天王寺の妻は警察に捜索願を出した。俺たちも必死で天王寺の行方を探した。……けど有力な情報は何も見つからず、結局あの事件は未解決のまま、捜査を終えることになった」
その言葉の後、少しの間沈黙が続いた。
するとその時、わたしのスマホが鳴り響いた。
「はい。強行犯係、笹野です」
その電話は、鑑識さんからだった。鑑識さんから電話の内容を聞いたわたしは「ありがとうございました」と言って、電話を切った。
「どうした?笹野」
「今鑑識から連絡がありました。……その後の科捜研の調べで、天王寺ミツグは逃走する途中、あの山林に迷い込んだ。恐らくその時にどこかで転げ落ちて骨折したものだと、鑑定されたそうです。 そして衣服からは、遺書のようなものも、見つかったそうです」
わたしはその内容を伝えると、再びホワイトボードに視線を通した。
「……遺書のようなもの」
「ってことは……。天王寺は、自殺ってことか?」
門野さんがホワイトボードに視線を向けながら、口を開く。