【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉
「いえ、天王寺が他殺だということは分かっています。……誰かが自殺に見せかけるために、偽装工作したものと思われます」
「偽装工作?……ってことは」
「恐らく、天王寺を殺害した犯人です」
その後小野田課長に言われて、詳しい話を日向と一緒に科捜研から聞きに来たわたしたち。
「やっぱり……他殺、なんですね?」
「ええ、間違いありません。……このご遺体は、他殺です」
わたしと日向は、少しだけ複雑な気持ちだった。
「このご遺体の死因は、恐らく……。頭部を殴打されたことによる脳出血でしょう」
「脳出血……?」
「それも一回じゃない。何度も殴打されてる」
それを聞いたわたしたちは、思わず言葉を失った。
「何度も……?」
「ええ。恐らく揉み合いか何かになって、殴打してしまった。……って、所じゃないかしら」
揉み合い……? だとしたら、確実にそこには誰かがいたはずだ。
確かにあの現場には、その痕跡があったと、鑑識も言っていたし……。もう一度、調べた方がいいかもしれない。
「あの、惣田(そうだ)さん。お願いがあります」