【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉
『まさかの振り出し、です』
「中山和美さん。……ですね?」
「そうだけど……」
わたしはアパートのドアが空いた時に少し顔を覗かせて「突然すみません、警察です。 ちょっとお話、よろしいですか?」と問いかけた。
「……警察が、わたしに何の用ですか?」
その女性は少し嫌そうな顔をしながら、わたしたちにそう問いかけてきた。
「中山さん、あなたに殺人容疑がかけられています。……ちょっとお話を伺いたいので、署までご同行、願えますか?」
「はぁ!?殺人っ……!?」
新たな事件の捜査で浮上した被害者の恋人に話を聞くために、わたしと日向は被害者の恋人である中山和美の住むアパートへと出向いていた。
中山和美と被害者の奥野という男性は、事件の直前に二人が口論していたという事実があったためだ。
話によると二人はその時に別れ話をしており、金銭トラブルなどがあったために、関係が拗(こじ)れたのではないかとも言われていたらしい。
その観点からわたしと日向は、被害者の恋人である中山和美に話を聞くことにした。
中山和美は、その矢野という男性が亡くなったと聞くと、終始驚いているような表情であった。