【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉
「中山さん、あなたと奥野さんが口論していたというのは、本当ですか?」
中山和美に取調室の中でそう質問すると、中山和美は「口論っていうか……。まぁ、ケンカはしてたけど……」と濁すようなことを言った。
「ケンカの原因は、やはり別れ話、ですか?」
更にわたしは、そう彼女に問い詰めた。
「……まぁ、そんなとこ」
「中山さん。奥野さんには他にも女性がいたというお話がありましたが、それは本当ですか?」
わたしがそう聞くと、中山和美はため息を少し吐いてから「……本当よ。あの男、わたしという女がいながら、他にも女がいたのよ。 しかもその女は、わたしなんかよりもずっと若い女だったの」と言った。
「だから、奥野さんのことを殺したんですか?」
「違うっ! わたしは殺してないっ……!」
わたしがそう問いかけると、彼女は声を荒げてそう伝えてきた。
「じゃあ誰が、彼のことを殺したんですか?」
「知らないわよ、そんなことっ……!」
彼女はわたしを睨むように見つめ、そしてその後「わたしが陵のこと、殺す訳ないでしょ?」と言ってきた。