【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉
ボーイはわたしの元を一旦離れると、伊藤綾香の元へと歩いていった。
そしてそれから少しして、花蓮こと伊藤綾香が派手目なドレスと高いヒールを履いてコツコツと音を立てて階段を登ってきた。
「伊藤綾香さん、ですね?」
と声をかけると、伊藤綾香はわたしの隣に座り「刑事さんでしたっけ? ここでは花蓮ですので、花蓮と呼んでくださいな」と言ってきた。
「では花蓮さん。あなたにいくつか、お伺いしたいことがあります」
香水の香りをフワリと漂わせる伊藤綾香は、とてもキレイでスタイルも良く、美人であった。
「伺いたいこと? 何かしら」
「伊藤綾香さん……いえ、花蓮さん。あなたの交際相手であった奥野陵さんが亡くなったことは、もうご存知ですよね?」
と彼女に問いかけると、彼女はわたしに「知ってますよ。ビックリしました」と言ってわたしに視線を向けた。
「あなた、奥野さんに結婚を迫っていたんですよね?付き合っていた本命の彼女と別れてほしいと言ってたって、証言があるんだけど?」
と問いかけたわたしに、彼女は「はぁ?言ってないわよ!そんなこと」と言ってきた。
「え? 言ってない?」