腐女子な女!

「怪我ないっていうか、怪我するボール飛ばしてくんなよ。」


 思わず漏れる本音。


「おぃ!知美さん!」


「いや、違うのよ佐倉君!違うから!!」


 慌てて、亜紀と奈津がフォローに入った。


 いや・・・だってそうじゃん!


 二人とも、もっと言ってやれよ!


「いやいや・・・悪かったよ。今度からは気をつける。」


 言うと、笑顔を振りまきながら、ボールを受け取り去っていく佐倉くん。


 瞬間、両隣にいた亜紀と奈津の表情ががらりと変わる。


 うを!・・・これが、かの有名なオーラ力か!!


 戦闘力一般人レベルの私に、このオーラ力は辛いぞ!


「ちょっと知美!」


「あんた、絶対今ので嫌な女だと思われたよ!」


 凄い剣幕でたてしまくる亜紀と奈津。


 そりゃ、そうだろうな・・・。


「いや・・・でも別に佐倉くん狙っているわけじゃないからいいよ。」


 それより、下手に好まれて、周りの女子を敵にするよりは、頭のいい選択を取ったと思うのだが・・・。


「別に、アンタが良くても、わたしまで悪印象になったらどうするのよ!」


 亜紀の言葉。


 あぁ・・・なるほど。


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