腐女子な女!


「いやいや・・・ドラマじゃないのだから、そこまで露骨にイジメとか起きないって・・・。」


 亜紀がケラケラと笑う。


 だけど、靴に画鋲が入っているのは事実だし・・・。


 実は、最近見つけたのだが、机にらくがきとかもしてあったし・・・。


 小さくて見えにくかったけど・・・(しかも、鉛筆だったから、消しゴムですぐ消えた。)


「っていうか、知美・・・あんたイジメが怖くて、佐倉くんをフッたの?」


 奈津が、いつになく真剣な顔をして聞いて来た。


 冗談で誤魔化せるなよ・・・表情が言ってる。


「・・・・・・・・・違うよ。」


 だから、真剣に答えた。


「だったら、どうして?」


「むしろ、どうしてOKできるのか、私には分からないよ。私は、佐倉くんの下の名前も良く知らない。趣味も、普段何しているのかも・・・そんな、人と付き合ったって、何していいのか、分からないよ・・・。」


 だから、付き合えない。


 一緒にアニメショップに回ってくれる人じゃなくちゃ、私は付き合えない。


 ガンプラ買って来たら、組み立ててくれる人じゃなくちゃ私は付き合えない。


 だから、佐倉君じゃ無理。


 佐倉くんじゃ、怖くて無理。


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