腐女子な女!


「『なぜ死ぬのか?と問われたら「生きているからだ」・・・と答えよう』」


 私が書いた最後の小説のセリフ・・・。


 私が、主人公がヒロインに愛の告白をするシーン。


 死にたがりのヒロインに、人生に疲れた主人公。


 二人は、人生に絶望しながら、それでも前に進もうと必死にもがく。


 挫折を繰り返し、何度も何度も死のうとして・・・。


 それでも彼らが最後にたどり着いた答えは・・・。


「『だから、問おう・・・なぜ、恋をするのか?』


 佐倉くんの質問・・・。


 その答えは、決まっている。


「『・・・好きになったからだ』・・・。」


 生きていることに、死ぬことに、前に進むことに、好きになることに、恋することに・・・理由なんてない。


 そんな結論を出したかった。


 それが、私が出した最後の答えのはずだったんだ・・・。


 なのに・・・私は・・・筆を置き、小説から逃げて、佐倉くんからも逃げて・・・逃げて逃げて・・・。


 そして、逃げる理由をずっと、探していた。


 逃げなければならない理由なんて、どこにもないはずなのに・・・。


「如月さん・・・好きです。」


 今度は、正真正銘に告白された。


 まっすぐに、しっかりと目を見て・・・。


 あの時とは違い、逃げられない状況で・・・。


 だから、言ってやった。


< 60 / 62 >

この作品をシェア

pagetop