色づいて、濁り、落ちていく
「そうなんですか?」
「うん、こんな気持ち初めて!」
「そうなんだ」
「ねぇ…それより!
出逢ってから、三ヶ月も経ってるよ。
あとどのくらい待てば、恋人になれるの?」
煙草を灰皿に潰して、美冬の顔を覗き込んだ氷河。

「…///」
氷河の綺麗な顔が近づき、顔が赤くなる美冬。
「あ、赤くなった。
これって、照れてるんでしょ?
美冬も僕のこと好きってことの証じゃないの?
仁士が言ってたよ」
「え…」
「美冬も僕のこと好きなはずだって」
「そ、それは…」
図星だった。
三ヶ月間、ずっと一緒にいて心が奪われてるのはよくわかっていた。
でもどうしても、踏ん切りがつかないのだ。

氷河が美冬に対して、とても穏やかで優しく幸せそうに笑う。
一緒にいると美冬も、心が穏やかで温かくなって幸せを感じていた。

でも━━━

「若、朝食の準備ができてます。
リビングへお願いします」
「あぁ。この話は今日の夜にしよう」
「はい」

リビングへ、手を繋いで向かう。
(氷河が美冬と触れ合えないので、せめて手だけでも繋いでいたいと言い、移動する時は屋敷の中でも手を繋いでいる)
「若、美冬さん、おはようございますっ!!」
すれ違う組員達が氷河と美冬に、一度立ち止まり頭を下げ挨拶をする。

リビングで朝食中。
銀蔵、氷河、美冬の食事を組員が見守るように囲む。
「お茶」
と銀蔵や氷河が言うと、すかさず組員が来て湯呑みに注ぐ。
銀蔵と氷河は普通なのだろうが、美冬にとってはとても肩に力が入り緊張するのだ。

そして何より辛いのが……
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