色づいて、濁り、落ちていく
「うがぁっ!!?」
一瞬で氷河は、大宮の髪の毛を掴みデスクに押し潰した。

「嫌!氷河さん!!やめてください!!」
「美冬、危ないからこちらへ!」
金藤が美冬を別室に誘導する。

美冬はその場でうずくまり、耳を塞いだ。

「せっかく前言撤回する猶予を与えたのに、バカだね貴様は。
さぁ、もう死んで。
さよなら」
そう言うと、ボールペンを取り出し大宮の首に突き立てた。
「はい、終わり」
そのまま大宮は、絶命したのだ。


「━━━美冬!」
金藤が大宮を片付け、綺麗にした後氷河が美冬を呼びに部屋に向かった。
美冬は尚も端の方で、耳を塞いでうずくまったままだった。

「あ…氷…河さん…」
「ごめんね。怖い思いをさせたね」
「いえ…」
氷河は美冬を包み込むように抱き締め、背中をさすった。

美冬が氷河の恋人になることに踏ん切れない理由。

それはこの残酷な行為の数々を、どうしても受け入れられないからだ。


そして仕事が終わり、屋敷に帰る。
「お疲れ様ですっ!」
組員達の挨拶の中、手を繋いで部屋に戻る二人。
氷河の着替えの手伝いをして、夕食を食べにリビングに向かった。
いつもの様に組員達に囲まれて食事をとる。
「あ…ハンバーグだ!」
「美冬、良かったね!」
ハンバーグは美冬の大好物のメニューだ。
「はい。
あの気を遣わなくて大丈夫ですよ?」

今日のように美冬が怖い思いをすると、その日の夕食は必ずハンバーグなのだ。
前に一度話の流れで、ハンバーグが大好物だと話してからいつもそうなのだ。
そして食後には、チーズケーキが出てくる。
これも好きだと氷河に話したから。

「だって、美冬に嫌われたくないから」
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