色づいて、濁り、落ちていく
今日は組全体で、氷河の誕生日パーティーをする。
その為、朝からバタバタしていた組員。

氷河と美冬が部屋に行ったのを確認すると、組員達が肩を撫で下ろした。
最近、組員達みんなは美冬と話す時や傍にいる時、とても緊張している。

「今日は怒らせてないよな?」
「たぶん。
ちょっとでも美冬さんに関わると、若に殺意を向けられるもんな」
「俺なんかこの前、ちょっと美冬さんと話しただけなのに、首絞められたし…」
組員達が口々に話している。

「若は“理性”がないようなもんだからな」
仁士がいて、ボソッと呟いた。
「そうっすね。日に日に嫉妬心が強くなってて、仕事中も“美冬は何してる”“美冬に確認しろ”ってしつこくて…」

「恐れていた事が起ころうとしているのかもな…」

「え?兄貴?」
「いや…なんもない…」


「「「━━━若、お誕生日おめでとうございます!」」」

会場を貸しきり、氷河の誕生パーティーが始まった。
氷河と美冬は一番奥の上座に座っている。
「ありがと」
と真顔で言い、
「氷河さん、お誕生日おめでとうございます!
なんかこれ…結婚式みたいですね///」
「フフ…そうだね!」
微笑み、美冬の頭を撫でる氷河。

美冬にだけは優しく微笑み、触れ、穏やかになる。
「氷河さん、素敵ですね!そのスーツ」
「そう?嬉しい。
美冬も凄く綺麗…ずっと眺めてたい」
「フフ…あ!プレゼント、受け取ってもらえますか?」
「もちろん!待ってたから」
両手で大切そうに受け取り、満面の笑みで包みを開ける氷河。

「シガレットケースとジッポー?」
「はい。それに見てください!」
どちらも、氷河の背中の刺青と同じデザインが入っていた。
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