色づいて、濁り、落ちていく
あとがき・情が殺される
「結婚式?」

「あぁ。お前と美冬の」
ある日、銀蔵と仁士が氷河に言った。


「…………わかった。いいよ」
しばらく考えて、氷河は頷いた。



銀蔵と仁士は“ある計画”をもって、氷河に提案していた。




「━━━━━美冬」
「はい」
氷河が話しかけると、ふわりと笑う美冬。

最近の美冬は、氷河に“しか”感情を表さない。
氷河と“同じように”無情になっていた。

「親父が、僕達の結婚式をしてくれるって」
「え?結婚式ですか?」

「うん」
「氷河さんが傍にいるなら」
「もちろん。僕と美冬の式だから」

「はい。わかりました」




そして、結婚式当日までの約三ヶ月。
仁士は氷河のいない日中、美冬の“情”を取り戻そうとしていた。

たった三ヶ月だが、少しでも情に火が灯ればいい。

「美冬、俺の目を見ろ」
「峰原さん?」

「美冬、思い出せ。
若と出逢った時のことを」
「………」
無表情な美冬。


しかし仁士は、決して諦めず美冬に声をかけ続けた。
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