色づいて、濁り、落ちていく
「美冬、迎えにきたよ!」
タキシード姿の氷河が、微笑み立っていた。


「え……峰原さん?」


美冬と氷河の間に、背中を刺された仁士が横たわっていた。


「美冬、帰ろう!
帰って、屋敷で“二人だけの”結婚式をしよう!」


氷河の手は、血で真っ赤に染まっていた。

その手の血で染まった汚れは、仁士を刺したから“だけ”ではないことがわかる。


「は…い……」

ゆっくり、氷河に歩み寄ると抱き上げられた。

「外は穢れてるから、僕が抱っこしてあげる」


外に出て美冬は、あまりの惨劇に氷河の首に顔を埋めた。






そこには━━━━━
銀蔵や、他の部下達の無惨な姿が転がっていたからだ。

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