DAY DREAM
「ゆかちゃんのお蕎麦屋さんの蕎麦、ばあちゃんが食べてみたいって」
「残念ながら出前はしてないからあんたがおんぶして連れてきなさい」
「ゆかちゃんが持ってきたらいいじゃん」
味気のない会話。
久々の公園。滑り台の上。
「お蕎麦屋さん、やめたいんだもん」
滑り降りて、砂場に尻餅をついた。スカートなんか、履くんじゃなかった。
もう一生履かない。
「お給料いいんでしょ?なんで?」
上から太一が降りてきて、背中にどすっとぶつかってきて、そのまま後ろから抱き締められた。
冷たい息が、うなじにかかって鳥肌が立つ。
「就職、考えてるの」
しいん、と一瞬時が止まって、太一の鼻をすする音で時が元に戻った。
「偉いね。ゆかちゃん。偉い偉い」
おでこを後頭部にすりつけて、太一は楽しそうに笑っている。それはもう、楽しそうに。
「太一は?まだ八百屋さんのまま?」
「うん、そうだよ」
迷いのない返事だった。
ふうん、とか、へえ、とかその類の相づちをうった私は、しばらく太一の腕の中で、砂まみれのおしりのことも忘れてぼんやりしていた。
就職なんてするつもりなかった。
ただ、言ってみただけだったんだよ。
次の日、本当にお蕎麦屋さんをやめた
「残念ながら出前はしてないからあんたがおんぶして連れてきなさい」
「ゆかちゃんが持ってきたらいいじゃん」
味気のない会話。
久々の公園。滑り台の上。
「お蕎麦屋さん、やめたいんだもん」
滑り降りて、砂場に尻餅をついた。スカートなんか、履くんじゃなかった。
もう一生履かない。
「お給料いいんでしょ?なんで?」
上から太一が降りてきて、背中にどすっとぶつかってきて、そのまま後ろから抱き締められた。
冷たい息が、うなじにかかって鳥肌が立つ。
「就職、考えてるの」
しいん、と一瞬時が止まって、太一の鼻をすする音で時が元に戻った。
「偉いね。ゆかちゃん。偉い偉い」
おでこを後頭部にすりつけて、太一は楽しそうに笑っている。それはもう、楽しそうに。
「太一は?まだ八百屋さんのまま?」
「うん、そうだよ」
迷いのない返事だった。
ふうん、とか、へえ、とかその類の相づちをうった私は、しばらく太一の腕の中で、砂まみれのおしりのことも忘れてぼんやりしていた。
就職なんてするつもりなかった。
ただ、言ってみただけだったんだよ。
次の日、本当にお蕎麦屋さんをやめた