DAY DREAM
親不孝な娘だ。
就活なんて、結局していない。お蕎麦屋さんのアルバイトをやめて、バスで20分かけて大きなショッピングモールの中の靴下屋でアルバイト。

早起き生活にかわりはない。ただ、お化粧と洋服選びだけは少しだけちゃんとするようにした。

そんなに忙しくないから私にはちょうどいい。
靴下、嫌いになったりしないと思うし。


アルバイトの帰りに、太一の家に寄った。
10時ともなると、おばあちゃんは寝ている時間なので起こさないようにそーっと部屋にあがる。

CDプレーヤーにイヤホンをさしてぼんやりしている後ろ姿。

とんとんと肩を叩くと、イヤホンを外してほほえむ。

「weezer。はい、バレンタイン」

綺麗にラッピングされたチョコレートを足元に落とす。

今日、いや、二日前はバレンタインデーだった。

「正解。ありがとありがと。」

私はゆっくり休むことなく、部屋をあとにした。
太一の足元に落としたチョコレートの横に、小さな電卓と、汚いノートが置いてあった。

太一は太一なりの頑張り方をしているんだ。

そうじゃなきゃ、春はこない
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