DAY DREAM
目覚まし時計を買った。先月始めたお蕎麦屋さんのアルバイトは朝が早いから。
六時に目覚ましをかけて、六時半までいもむしのようにうねうねと動いて、七時に支度が始まる。
朝ご飯は食べなくても生きていけるから、簡単にお化粧を済ませて服はタンスの上から適当につかんで着る。
七時半には家を出る。電車は好きじゃないから、自転車で通える距離でアルバイトを決めた。
寒い。確か今は12月。カレンダーもテレビもない部屋に住んでいたら、日付の感覚が麻痺してしまう。
マフラーをぐるぐる巻きにしたせいで、呼吸をすると眼鏡がくもり、視界がぼんやりとにじんで心地よい。
自転車をギコギコ漕いで10分。
小さな商店街の、小さな八百屋の前で立ち止まる。
「今日も早いね、太一、起こそうか?」
小さなおばあちゃん。
やたらド派手な紫色のニット帽を、ちょこんと頭に乗せていて、おとぎの国の魔女みたいだ。
お店の奥の部屋から、大きなくしゃみが聞こえた。
「あれ、起きたみたいだ。太一、ゆかりちゃん来てるよ」
おばあちゃんが振り向いた拍子に、陳列されていたゴボウの束が二つ落ちた。
うー、うー、とうなり声をあげて、細長いゴボウのような小汚い男が、真っ青のちゃんちゃんこを羽織ってやってきた。
六時に目覚ましをかけて、六時半までいもむしのようにうねうねと動いて、七時に支度が始まる。
朝ご飯は食べなくても生きていけるから、簡単にお化粧を済ませて服はタンスの上から適当につかんで着る。
七時半には家を出る。電車は好きじゃないから、自転車で通える距離でアルバイトを決めた。
寒い。確か今は12月。カレンダーもテレビもない部屋に住んでいたら、日付の感覚が麻痺してしまう。
マフラーをぐるぐる巻きにしたせいで、呼吸をすると眼鏡がくもり、視界がぼんやりとにじんで心地よい。
自転車をギコギコ漕いで10分。
小さな商店街の、小さな八百屋の前で立ち止まる。
「今日も早いね、太一、起こそうか?」
小さなおばあちゃん。
やたらド派手な紫色のニット帽を、ちょこんと頭に乗せていて、おとぎの国の魔女みたいだ。
お店の奥の部屋から、大きなくしゃみが聞こえた。
「あれ、起きたみたいだ。太一、ゆかりちゃん来てるよ」
おばあちゃんが振り向いた拍子に、陳列されていたゴボウの束が二つ落ちた。
うー、うー、とうなり声をあげて、細長いゴボウのような小汚い男が、真っ青のちゃんちゃんこを羽織ってやってきた。