DAY DREAM
「サービスサーカスってなんだったの?」

パプリカへの伝言は失敗した。

80過ぎのおばあちゃんに、「サニーデイサービス持ってきて、って言ってね」は難しかったか。

「サービスまで出たらわかるでしょーが」

それならメールしたら早いでしょうがと、太一は反論してみせたが、お構いなしで私は太一のすねをつねる。

仕方なく、BGMはヘッドフォンから漏れる真心ブラザーズ。
高校生の私がなりたかった倉持陽一。

窓を半分だけあけると、隣の部屋の食事の匂いが風に乗ってやってきて、顔をしかめてすぐに閉めた。

冷蔵庫で冷やしておいたビールを、背中の後ろに隠して、太一の前に立ちおでこにつきつける。

「おや、ゆかりさん。ビールとはぜいたくですねー。」

自転車の運転は完璧だったようだ。ぷしゅっといい音。

おつまみは、冷蔵庫にあったきゅうりとおばあちゃん手作りの味噌。

私と太一には、とてもぜいたくな時間なのだ。

極楽はどこだ。
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