DAY DREAM
押し入れで眠っていたMORRISのギターを引っ張りだして、
チューニングも合わせずに太一の歌に合わせて適当なコードをひいた。

酔っ払いの二人は、何度も笑いのツボという穴に落ちては、何度も這い出て歌を歌った。

今のフレーズは何かのぱくりだとか、マイナーコードばかりで暗いとか
そういえばさっきのきゅうりはだいぶ前におばあちゃんがくれた物だったとか

とにかく笑って、歌った。


「タイトルは、きゅうり?」

「いやよ、もっとかっこいいのがいい」

「ばあちゃんのきゅうり」

二人は手をつないでふらふらと、ギターを持って外に出た。

雲が月を隠した、真っ暗な夜。

太一が突然走りだして、笑いながら転がった。
ギターを抱えた私はその後ろを、ひょこひょこついていって転がった。

商店街につくまで何度も転がった。

時折すれ違う人たちの冷たい視線も、私たちには見えなかった。
< 38 / 67 >

この作品をシェア

pagetop