DAY DREAM
「ゆかり、緊急の連絡だってあるんだからね?」

同じようなことを誰かにも言われた気がする。

母親からの着信を、しばらく放置していた。
そういえば親不孝な手紙を書いたとき、“夏には帰ります”なんて書いたんだっけ。

すっかり忘れていた。つくづく親不孝な娘だ。

母親は、とにかく私に甘い人だ。女三人姉妹の末っ子で、学生時代はなんだって好き勝手やらせてもらったし、今だって、こんなできそこないに仕送りを続けてくれている。

父親は、緩やかな人で、めったに怒らない。姉二人の結婚にもちっとも反対しなかった。
興味がないのかどうかはわからない。

長電話だった。
日が沈むのが遅い季節なのに、電話の途中で日が沈んだ。

電話の長さが、心配の重さと比例してるとか言いきれないけど、かなり不安にさせているのだ。

暗くなった部屋で、ヘッドフォンをかぶって膝を抱えて泣いた。
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