甘えたいと甘やかしたい
「んで、それだけ?」

「いや、ここからがほんだいだよ!」

「は?」
『さっきのは前置きだったのかよ』と心の中でツッコむ

「ちぃちゃんに意識してもらうにはどうしたらいい?」

あ、こいつもいろいろあるのか

「知らね」

でも俺、基本ゆずしか興味ないんでと、小さな声で呟く

メルには聞こえないように

「聞こえてんぞ!」

「地獄耳…」
今度もぼそっと呟いたがきっと聞こえてるだろう

「………」
ゆずがクラスメートから受け取ったボールをキックするのが見えた

そんなに威力のないボールだったが速度を誤ったのかひょろひょろとゴールキーパーの横を抜けゴールした

「……ふっ…」
そのことに一番驚いているゆずを見てつい笑ってしまった

「柚葉ちゃん、ほんと好きだな、お前」

「………うっせ」

「あ、照れてやんの!」
図星をつかれてごまかすために肩をボカッと殴ってやった

ゆずがメルのこと苦手じゃなくなる日、来るかな?
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