甘えたいと甘やかしたい
episodeⅡ

たまには我が儘を…

なぎちゃんが
「ゆず!」ってドア越しに呼んでいる

だから、私も「なぎちゃん」って返そうと思ったのに声が出ない

苦しくて怖くて声が喉で詰まっちゃう


中学校の頃、一回だけ体験した怖さ

なぎちゃんが助けてくれたから、今笑える

『なぎちゃん』って呼び方は私だけの呼び方だから他の人には呼んで欲しくないって思ったら苦手なはずの西野くんに言い返していた

なぎちゃんがいてくれれば…なんでも…でき…る…



「………ず………ゆず…ゆず!」

「ゴホッ…なぎちゃ…」
喉が痛くて出た声もガラガラしている

「ゴメン、ゆず、眠くてゆずの不調気づけなかった」

……?

「私…ちょ…ごほっ…ぅし悪かった?」

「うん、やっぱり気づいてなかったね。ゴメンね」
なぎちゃんが悲しそうな顔で謝ってくるからぶんぶんって首を横に振った

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