平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
「俺らの班も大聖堂の名所を含めて、好きなの食いながら歩いて見て回るつもり。シモンの奴にも、色々と食わしてやらねぇといけないし」

そういえばと、まだ合流していないメンバーを思った時だった。コーマックが第三小隊長のトナーといった、編成を率いる獣騎士たちを集めて確認に入る。

それを見ていたリズは、不意に後ろから大きな手で顎をすく取られた。

「賑やかだったな。俺としては、花嫁衣装の着合わせも楽しみだ」

ジェドの声がした直後、頬に柔らかな感触がした。

キスをされたのだと気づく。頬を押さえてパッと振り返った拍子に、濃く美しい彼の青い目と合ってリズの胸が甘く高鳴った。

「ちょっ、団長様!」

「まだ名前は言えない?」

「うっ、それは……」

彼がくすりと美麗な笑みを浮かべた。背の高い彼に覗き込まれ、甘く見つめられて顔が熱くなる。

「リズ、言ってみて」

朝に、執務室で二人きりの時に呼んだみたいに。

そう言われているのが分かって頭が沸騰する。コーマックたちがニヤニヤと見守っているのも気になって、咄嗟に彼の顔をぐいっと手で押し返した。

「い、今は仕事中ですよ!」

最近、ジェドの愛情表現が遠慮を知らなくて困っていた。

平気な顔で好意を伝え、手を握り、隙あらば婚約者として愛を囁いてくる。

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