平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
「そもそも、ひどいのはあんたたちの方さ。人間は、醜い。あんたは、よく知っているはずだよ」

白い指先を差し向けられ、シモンの眼差しが鋭くなる。

実の親に、死んでしまえと山に捨てられた。

そのことを魔女は言っているのだ。リズは心配して、自分の前に立つ華奢な肩に触れようとしたが、察知したようにシモンが言った。

「俺は、両親を恨んだ。でも結局は恨みきれなかったから、獣に食われて死ぬことを覚悟した時、胸にあったのは悲しみだった。必要とされたかった、てさ」

「シモン君……」

「でもお姉さんと会えて、これまでを恨まなくなった。もし実の親に会えたとしても、俺は、誰も怨まない」

独り耐えるような暗い目をしていた彼が、今は、真っすぐな目をしている。

リズが胸元で手を握り締めると、シモンが肩越しに振り返ってきて、弱ったような顔に笑みを浮かべる。

「お姉さんはさ、自分が思っている以上に、助けてくれたあとだって俺を救ってくれているんだぜ」

「それは、心を癒やされたからさ」

不意に、魔女の独り言のような声が聞こえた。

「そして救われた――哀れだね、自分は救えないというのに」

見てみると、じっとこちらをうかがっている魔女がいた。やはり、亡霊と対面した時のような怨みは感じない気がする。

「あの……もしかして、アティーシャを知っていたりするの……?」

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