平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
「そうだよ。そして〝不思議な偶然〟を重ね、『幸運の娘』であることを察知した白獣たちが、お前をグレインベルトへ呼んだ」

信じられない。そんなことが、本当に起こるものなの?

力が抜けてしまったリズを、ジェドが抱いて支えた。

「トナーの相棒獣がリズを選んだのは、それが理由だったと?」

「正確に言えば〝白獣たちの判断〟に従った結果だ。知っての通り、白獣たちは一千年前の事件でアティーシャを失った。彼らは奪われたと怒り狂い、領主は彼らに〝守る自由〟を与えた」

「守る自由……?」

「領主の意見に関係なく、自分たちで幸運の娘を守れる自由だよ」

今、この国には幸運の娘はリズしかいない。

つまりリズが白獣たちに選ばれたのは必然であり、リズが獣騎士団に来ることは運命でもあった、と。

けれど、すぐにそうであると信じられるはずもない。

「幸運の娘の影響力を求めて、権力者たちはこぞって奪い合いをした。アティーシャのようにならない可能性はない。だから離れ――」

「だから離れろと? 何を馬鹿なことを。そもそもそのアティーシャの件で、何があったのですか?」

コーマックが珍しく軽蔑混じりに声を荒げ、引き下がれない態度で尋ねた。

きっかけになっているらしい一千年前の怨恨を、リズたちは知らない。亡霊が嘆き悲しんだほどの死別があった、としか。

「当時の王族と、彼を支持する側近のせいで、死んだ」
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