平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
「アティーシャと同じく、リズ・エルマーは数百年ぶりに生まれた〝幸運の娘〟だ。白獣に引き渡した方が彼女のためになる」

だから魔女は、獣騎士団から離れるようにとも〝忠告〟したようだ。

そんな貴重な存在である実感はない。もしもの可能性を考えれば、みんなから離れた方がいいのか。結婚だってしない方がいいのか?

しかし、リズは、やっぱり何度考えたって諦めることなんてできなかった。

愛した彼と、一緒にいたい……。

そう切に思った時、ジェドの手がますます強く抱き締めてきた。

「リズと離れろだの結婚するなだの、いったいなんなんだ? そう聞かされて、俺がリズを諦めるとでも?」

見上げてみると、気に食わなそうに魔女を睨んでいるジェドがいた。たったそれだけで、リズの不安なんて微塵にも消し飛んでしまう。

「あたしは、あの亡霊と違って当時の領主を怨んでいるわけじゃない」

「正しい忠告をふりかざしていると? 笑わせるな。お前、途中から『あの子』と呼んだな。王都への復讐も、リズを救うだのなんだのと言っていたことも、個人的なことがあってのことなんじゃないのか?」

これまでのお返しのようにジェドが突き付ける。

言われてみれば、確かにアティーシャをよく知っているように口ぶりだった。リズを不安にさせた言葉も、魔法や予知ではないのだ。

白獣と獣騎士、全員の目が魔女を注目する。

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