平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
その時だった。どこからか大きな文句の声が上がって、リズはビクッとした。

《なぜ私があなたと一緒に! コーマックの匂いもしませんしっ》

《知るか、オスなのに『ムキーッ』とするなよな、ったく》

「お姉さん?」

シモンが、不思議そうに首を傾げる。

え? もしかして、全然聞こえてないの?

リズは、いよいよ戸惑った。近づいてくる会話を捜してみると、そこにはカルロと美獣なコーマックの相棒獣、エリーの姿があって目を見開いた。

《なんですかその言い方は! 私がいつそのような幼稚な反応をしたと!?》

《今だよ、今。そうぐちぐち耳もとで叫んでくれるなよ。うぜぇ》

《あなたはなんてお口が悪いのですか! 『うぜぇ』だなんて言わないっ》

《チッ。相変わらずぐちぐちと説教煩いのなんの》

《我慢なりませんっ。初めて見た戦士だというのに、あなたときたら高潔どころか乱暴獣で――いったい!》

カルロが不機嫌な顔で、飛び上がってエリーをしこたま踏みつけた。

「良かった、カルロたちも元気そうだ」

気づいたシモンが、頼もしそうに目を向ける。

しかしリズは、目の前の光景が信じられず、震える手で指を差す。

「カ……カルロたちが、喋ってる」

「え? 何が?」

どうやら、シモンには二頭の声が全く聞こえていないようだ。しかしエリーは、リズと同じく驚いた反応を見せた。

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