平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
「え……? でも、私は何も」

「自信を持つのよ、あなたなら止められるから」

時間はない。状況が状況なだけに、リズは目を覗き込む彼女へ声を震わせた。

「で、でも、いったいどうしたら」

「白獣たちに魔力を〝喰う〟ようにと、望むのよ」

どうしてジェドではなく、自分に言うのか?

内容も全く予想外のことで動揺した。コーマックたちの戸惑う視線の先で、ジェドがやや声を荒げて口を挟む。

「魔女、それは無理だっ。白獣が魔力を食うなんて聞いたことがない」

「そうね。一般的な白獣なら無理よ」

キッパリと魔女は述べた。

「でも、さっき『カルロ』が魔法攻撃に対応したのを見たでしょう? 白獣の中には、悪霊さえも噛み砕き喰えるモノたちも存在する」

時間がないのだと早口で答えた魔女が、サッとリズへ視線を戻し、握った手を急かしてどうにか一緒に立ち上がる。

「リズ、望むのよ。彼らは〝幸運の娘〟であるあなたの命令しか聞かない。あたしが魔法で、あなたの声を彼らに届けるわ」

「命令だなんて、そんな」

「迷っている時間はないわよ。大丈夫、魔力が喰える彼らは、単体で魔力が使える特別な白獣たちなの。白獣の中から選ばれた、特別な戦士たちよ」

ふと、声を発することに魔力を使えた亡霊のことが思い出された。彼もカルロに『戦士』と呼ばれていた。

< 193 / 213 >

この作品をシェア

pagetop