平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
迷いながらカルロに目を向けると、後押しするように浅くうなずき返された。他の相棒獣たちも、戸惑いというより落ち着かない様子だ。

――そうか。実際に存在しているんだわ。

白獣の女王と同じなのだ。エリーたちは白獣のルールというもので伝えられないだけで、魔女の言う〝彼ら〟を知っているのだ。

魔女からそっと手を離され、現実感のない足がふらりとする。

その時、ジェドが隣から指を絡め、しっかりと手を握り合わせてきた。

「リズ。俺がいる」

こんな時なのに、彼の眼差しは『好きだよ』と伝えてくる。たったそれだけで、リズの決心はあっさりついてしまった。

できるだけのことを、しよう。

本当に来るのかどうか分からない。でも王都とみんなを救える可能性があるのなら、やってみよう。彼がいてくれるから。

「心は決まったみたいだね。言葉を全て届けるわ、私の後に続いて」

魔女が手を振るい、光の球体が現われる。コーマックもシモンもトナーたちも、余計な物音一つ立てないよう口をつぐんだ。

リズは、目を伏せた。握ったジェドの手の温かさに集中する。

心が鎮まった途端、気づけば魔女の囁きを唱和していた。

「どうか、助けて。私の〝望み〟を叶えて」

私たちの願いを、どうか聞き届けて――そう想いを込めて、リズは魔女の言葉を繰り返した。

束の間、緊張があった。

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