平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
《左様。我らが領主、白獣には三十三の獣の名がある。先代の記憶と役割と共に名を継承する》

《我らは規律、ゆえに戦士のことについては話せる。だが、我々もここまで》

「なぜ、存在していることを黙っていた」

《平和が守られている現在において、我々は不要だからだ》

話はしまいだと言わんばかりに、白獣たちの目がリズへと向いた。

ビクッとした直後、領主であるジェドにさえ威厳を崩さなかった彼らが、一斉に恭しく頭を低くした。

《我らが幸運の娘、あなたに害のなすものを我々は許さない。我々は先代から恨みと悔いも継承した、敵を喰い殺すためだけの十三頭》

《『カルロ』から話は聞いた、ここにいる人も獣も傷つけないと約束しよう》

《――さあ、我らが娘よ、望みを》

大きな白獣たちが、リズの言葉を欲している。

条件がなければ〝領主〟に従う義理はないと、彼らの言葉と態度が、魔女が言っていたことを証明している気がした。

リズの命令にしか従わない。

そう気づかされて、急かされた。しかし不意に、彼らと同じだが、優しい言い方をしてきた白獣がいたことが脳裏を過ぎった。

『あなたの望みは、なんですか?』

いつだったか、夢の中でエリーが、コーマックの声で話しかけてきた。あれは本当のことだったのか、それともただの夢?

分からないけど……心から伝えれば、荒ぶる獣たちにも伝えられる気がした。

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