平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
カルロは、獣舎の白獣たちから畏れを察知し、面倒そうに頭を起こした。心地よい夜風を入れている窓から、月の美しい夜空を見上げる。
そこに浮かんだ月は、人も踏み入らない奥の森で見た時と同じだった。
《――相変わらず、頭の固い過激なやつらだ》
彼は仏頂面でつぶやいた。
※※※
ジェドは、ハッとして目を開けた。
視界に飛び込んできたのは、見慣れた自分の執務室だった。途切れた記憶を辿ったところで、椅子の肘あてに頬杖をついて寝てしまったことに気づく。
「どうかしましたか?」
「いや」
すぐそこにいたコーマックに問われ、小さく否定する。だが、答えた矢先に少し考え込んだ。
「コーマック。山の方が、少し騒がしいと感じることは?」
質問を投げられたコーマックが、書類を抱え直しつつ首を傾げる。端整な顔立ちをした彼は、ジェドの幼馴染であり右腕の獣騎士団副団長だ。
「いえ? とくには」
「そうか……」
「白獣のことなら、団長の方が一番に察知するとは思いますが、気のせいでしょう。先程トナーたちが巡回から戻ってきましたが、いつも通りの様子だったそうですよ」
安心させるようにコーマックが微笑む。
ジェドは椅子に座り直した。確かに、山の方も変わらず落ち着いている。旅の者がうっかり紛れ込み、救難要請をされる事案も発生していない。
「こうやって居眠りするのも、久しぶりですね」
そこに浮かんだ月は、人も踏み入らない奥の森で見た時と同じだった。
《――相変わらず、頭の固い過激なやつらだ》
彼は仏頂面でつぶやいた。
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ジェドは、ハッとして目を開けた。
視界に飛び込んできたのは、見慣れた自分の執務室だった。途切れた記憶を辿ったところで、椅子の肘あてに頬杖をついて寝てしまったことに気づく。
「どうかしましたか?」
「いや」
すぐそこにいたコーマックに問われ、小さく否定する。だが、答えた矢先に少し考え込んだ。
「コーマック。山の方が、少し騒がしいと感じることは?」
質問を投げられたコーマックが、書類を抱え直しつつ首を傾げる。端整な顔立ちをした彼は、ジェドの幼馴染であり右腕の獣騎士団副団長だ。
「いえ? とくには」
「そうか……」
「白獣のことなら、団長の方が一番に察知するとは思いますが、気のせいでしょう。先程トナーたちが巡回から戻ってきましたが、いつも通りの様子だったそうですよ」
安心させるようにコーマックが微笑む。
ジェドは椅子に座り直した。確かに、山の方も変わらず落ち着いている。旅の者がうっかり紛れ込み、救難要請をされる事案も発生していない。
「こうやって居眠りするのも、久しぶりですね」