平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
「まっ、仕方ないね。あたしも守ってやるさ。歴史に取り残されたようなお前と、あたしだもの」

この国で、たった一人の幸運の娘と、一千年以上も生き続けた魔女。

魔女と比べれば自分なんて大層なく思えた。それでも悩んでいた最後の想いも溶けていくような気がして、リズも弱々しく微笑み返した。

「色々と、教えてくださってありがとうございました。私はもう大丈夫です。……ジェドがいてくれるから。そしてみんなもいてくれるから、何があっても、きっと乗り越えられると思います」

全員の注目の中だったので名前を口にするのは恥ずかしかったが、眠りにつく魔女に今の気持ちを素直に伝えたかった。

魔女が肩の力を抜き、目に柔らかな微笑を浮かべた。

まるで孤独ではなくなったみたいな、一人の母親の顔をした、とても優しい笑顔に見えた。

「あーあ。でも、どうしたもんかねぇ」

魔女が、しめっぽさも含めてはぐらかすように空を見た。その顔の輪郭さえ光って、徐々にぼやけ始めている。

「永遠の命と引き換えだった大魔法は失敗してしまったし、守ると約束したら、あと数十年は死ぬに死ねないね」

「お前は、眠りと目覚めを繰り返してきたんだよな」

ふと、ジェドが顎に手をやる。

「ああ、そうさ。これから、どうするのかも考えてないよ」

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