平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
「もっとよくこの国を見たことはあるか? 歴史は消されたと言っていたが、その跡地を実際に尋ねたことは?」
「いや、ないよ。そんな余裕はなかった」
「なら、自分の目で色々と確かめてくるといい。その箒なら、うちの戦闘獣と同じくらいどこへでも行けるんだろう――ここ数百年の王族が作った平和を、直に見て肌に感じられるはずだ」
彼女が笑う吐息をもらした。
「名案だね。ひと眠りしたら、ゆっくり観光でもしてこようか」
ゆらゆらと、魔女の存在が蜃気楼みたいに揺らめている。
さよならの言葉はなかった。気づけば、その姿はリズたちの目の前から消えてしまっていた。
魔女も、白獣の戦士たちもいなくなった展望台に、まるではじめっから何もなかったみたいにリズたちだけが残されていた。
陛下たちを安心させるため、いったん説明も兼ねて王城に戻ることになった。ベルベネット子爵たちも待っている。
「あの……団長様、少しいいですか?」
カルロへの騎獣を手伝おうと手を差し出してきたジェドに、リズは緊張気味に改まった声を出した。
ずっと気になっていることがあった。今聞いておきたくて、気づいたコーマックたちがなんだろうと目を向けてくる中で言葉を続ける。
「団長様は、私が幸運の娘だと知った今も、変わらず強く『結婚したい』と思ってくれていますか?」
「いや、ないよ。そんな余裕はなかった」
「なら、自分の目で色々と確かめてくるといい。その箒なら、うちの戦闘獣と同じくらいどこへでも行けるんだろう――ここ数百年の王族が作った平和を、直に見て肌に感じられるはずだ」
彼女が笑う吐息をもらした。
「名案だね。ひと眠りしたら、ゆっくり観光でもしてこようか」
ゆらゆらと、魔女の存在が蜃気楼みたいに揺らめている。
さよならの言葉はなかった。気づけば、その姿はリズたちの目の前から消えてしまっていた。
魔女も、白獣の戦士たちもいなくなった展望台に、まるではじめっから何もなかったみたいにリズたちだけが残されていた。
陛下たちを安心させるため、いったん説明も兼ねて王城に戻ることになった。ベルベネット子爵たちも待っている。
「あの……団長様、少しいいですか?」
カルロへの騎獣を手伝おうと手を差し出してきたジェドに、リズは緊張気味に改まった声を出した。
ずっと気になっていることがあった。今聞いておきたくて、気づいたコーマックたちがなんだろうと目を向けてくる中で言葉を続ける。
「団長様は、私が幸運の娘だと知った今も、変わらず強く『結婚したい』と思ってくれていますか?」