平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
望んでくれていることは、これまでの彼からも感じていた。でもリズは、彼の口からも聞きたくなった。

この先、何かが起こるかもしれないし、何も起こらないかもしれない。

そのわずかな不安を残してでも、リズはジェドの妻として彼と生きたかった。それくらいに彼に恋焦がれていた。

「ただの我儘なんです。もしかしたら迷惑をかけてしまうかもしれないのに、私はその全部も受け止めてとねだってしまって……」

「もちろんだ。ぜひもっと我儘になってくれ。して欲しいことも、どんどんねだってくれていい」

想定外の喜んだジェドを前に、リズは大きな目をパチパチした。

「え……、どんどんねだっていいんですか? 失望しない?」

「失望なんてするものか。『今でも俺の気持ちが変わらないか』だって? そんなの変わらないに決まっているだろう」

「きゃっ」

感極まった声を上げてジェドに抱き締められた。

「俺は、お前と結婚したくてたまらないんだぞ」

その満面の笑顔に、残っていた不安さえも消えていった。

リズは嬉しくって、涙が出そうになって、肩に感じる彼の柔らかな髪と吐息にドキドキしながらも彼の背に手を伸ばした。

「はい。私も、もっとずっと、結婚したくてたまりません」

ぎゅっと愛しい人を抱き締める。もう二度と、諦めようだとか微塵にも思わないと約束するかのように。

見守っていたトナーたちが、見ているのも野暮だと騎獣する。好奇心いっぱいに見ていたシモンをコーマックが脇に抱え、エリーのもとへと向かった。
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