平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
でも、今夜はきっと恥ずかしがっても止めてくれない。そんな予感に、リズは胸が熱く震えた。彼はあますところなくキスをしてくれるのだろう。

恥じらいながらも身を任せているリズを見て、ジェドが目に熱を宿して微笑む。

「可愛いことを言う。もっと、色々と言わせたくなるな」

ジェドになら、もっとされてもいい――ドレスの上から胸に触れるジェドに、そう思った時だった。

扉が開かれる気配がして、リズは咄嗟に離れた。

「そろそろご移動をお願い致します」

「は、はいっ」

男性係員に「迎えをありがとう」と柔和に答えたジェドが、少しだけ乱れてしまったリズの頭のヴェールを自然な仕草で直した。

迎えに来た男の案内で、細く長い通路の後ろを歩く。

緊張は高まったが、ジェドが手を握ってくれて和らいだ。そのドキドキは、これから彼と愛を誓い合うのだという高揚に変わっていく。

やがて通路の先に光が見えて、多く人たちがいる式場内が近付いてきた。その二階部分に気付いて、リズは「あっ」と小さく声を上げた。

「カルロたち、二階の立ち見席を貸してもらえたんですね」

良かったとつぶやいたリズに、ジェドが幸せそうに目を細める。

「嬉しい? みんなの計らいがあって、外ではなく急きょ館内の特別席を用意するよう頼んだ。リズが喜んでくれかなと思って」

「とても嬉しいです。――ありがとう、ジェド」

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