平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
気のせいだろうか。コーマックもトナーたちも一階にいるはずなのに、上から彼らに似た声の愉快なやりとりが聞こえるような……。

ふっと声がやんだ。耳を澄ませてみたが聞こえない。うん、きっと気のせい。そういうことにしておこう。

「なんだ、また気にしているのか?」

ジェドが唐突に耳打ちしてきてドキッとした。

「な、何がでしょうかっ?」

「だから、みんなで秘密にするといった、先日のことだ」

先日、と記憶を辿って思い至った。それは魔女の詳細に加えて、リズのことだ。

「なんだ、幸運の娘の方だったんですね」

「それ以外に何かあるのか?」

「いえっ、何もないですよっ」

今、ちょっと気になることがあったようななかったような、と思いつつもリズは慌てて手を振る。

腰を抱いている彼が、不思議そうに眉を寄せた。

「まぁ、リズとしては気になるよな」

誤解されてしまった。

式場に出るまで、あともう少しだ。リズが言い訳を考えていると、彼が視線を前へと戻してつぶやく。

「幸運の娘、か」

ふむ、と考えたジェドが、不意に美しく笑いかけてきた。

「ならば俺は、世界で一番の幸せな夫だな」

「え?」

「お前のような花嫁を得られた、それが俺の最大の幸運だ」

想定外の甘いプロポーズがきて、耳まで真っ赤になった。この人は本当に、いつもリズをトキメかせる。

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