平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
全く気にしていない、といえば嘘だ。でも、ほんのちょこっと気にしていたことも完全になくなってしまって、もう赤面で口をぱくぱくした。

「こ、幸運って」

「リズ。お前と言う妻を迎えられただけで、俺は幸せだ」

「も、もうっ、大袈裟すぎますっ」

ムキになって言い返したが、嬉しくって叱る表情も失敗した。

その時、式場へと出た。わっと歓声が上がって、大勢の祝福に包み込まれる。

恥じらったリズは、ジェドと目を合わせた。二人揃ってしまりのない笑顔を浮かべると、手を取って大聖堂の赤い絨毯の上を進む。

進んだ先には、もう何度か顔を合わせている神父が待っていた。

式場内が静まり返ると、彼が言葉を述べ始める。それをリズは、神聖な気持ちを抱いて聞いていた。

今のこの美しい光景を、夫婦としての第一歩となるこの始まりの瞬間を、リズはこれからもずっと忘れないだろう。

「さあ、誓いの結婚指輪の交換です」

そんな神父の声が聞こえて我に返る。

差し出された結婚指輪を、ジェドと共に受け取って交換して付け合った。左手の薬指にぴったりとはまった美しい指輪に、気持ちは幸せ一色に染まる。

「リズ、これから俺がどんなことからも守ろう。どうか安心して、俺と人生を歩んでくれ」

ジェドが手を伸ばし、勝手にリズの肩を抱いてきた。リハーサルではなかったことなので焦った。

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