平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
ソファに座ったところで尋ねた。親しげに見つめ返しているリズのそばで、ジェドはむすっとした顰め面だ。

するとベルベネット子爵が、リズにウインクを送った。

「私は社交が広いからね。彼とも、仲良くさせてもらっているんですよ」

その縁で、リズたちが揃って参加することを聞きつけ、再会の場としてこの部屋を借りることもできたのだとか。

そう話した彼の目が、早速ジェドへと戻った。

「彼は、元気ですか?」

「彼、とは?」

「ほら、あなた方が連れて帰った〝謎の少年〟ですよ。早々に人気者になったようですが、私はまだ顔を合わせていないんですよねぇ」

シモンのことだ。この口調からすると、陛下への顔見せで連れて来ていることも知っているのだろう。

「相変わらず情報が早いな。どこ経由なのか、とても気になるんだが?」

ジェドが悠々と足を組み替え、落ち着いた笑みをたたえて聞く。

「情報漏洩ではありませんので、お気になさらず」

にこっとベルベネット子爵が笑った。ジェドも美麗に微笑み返した。

二人の間の空気が、寒い……。

リズは、カルロのあのもふもふな温かさが欲しくなった。彼は、ジェドの父の高齢の相棒獣と共に離れてついてきていて、屋根の上で待機している。

「言ったでしょう。私は、白獣とグレイソン伯爵にとても興味があるのです。その場所のことは、情報が入るよう〝手を打ってある〟わけです」

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