平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
コーマックの声が聞こえて、彼は一瞬感じた胸騒ぎのような違和感は気のせいだったのだろうと思って、前髪をかき上げた。

「すまん。まさか寝てしまうとは思わなかった」

「いえ、大丈夫ですよ。お疲れだろうと思いましたので、休憩になって良かったです。以前なら、休憩なんて取らなかったですから」

――リズが来てから、ジェドは変わった。

これまで領主の仕事も、獣騎士団長としての仕事もできる限りやろうと抱え込んできた。しかし、部下たちにも協力してもらって休憩を挟むようになった。

とくに彼女が、心配するから。

それを思い出してジェドは苦笑した。

「相棒獣がいるから、大丈夫だとは言ったんだけどな」

「リズさんの言い分は正しいですよ。僕らも何度だって言ってきましたが、団長は働き過ぎなんです」

言い訳は聞きませんという姿勢で、コーマックがぴしゃりと言った。こうなった彼には言葉を続けるのが無謀だというもので、ジェドは口をつぐんだ。

この幼馴染は、昔から度胸は坐っている。温厚な性格だが、領主の子息だからといって特別扱いすることもなく、剣術だって負かす気でぶつかってきた〝かなりの負けず嫌い〟でもある。

「さすがの団長も、気が立って疲れてもいるんでしょうね。何せ、来月には結婚ですから」

居眠りをしてしまったのは、そちらの方が正論に思えた。

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