平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
続いた沈黙を、ベルベネット子爵が笑顔で終わらせた。

「なるほど。道理ではある」

ジェドが笑みのままうなずく。

だが直後、彼がテーブル越しにベルベネット子爵の胸倉を掴んだ。リズが驚いている間にも、低い声で述べる。

「俺はな。この長期の王都滞在のために、余分な仕事も諸々片付けたんだよ。昨日も両親への対応と社交で忙しくて、ようやく今日ここでリズといちゃつけると思ったら、お前が出てくるし」

「ははは、それは悪いことをしました。けれど、謝りません」

にっこりと彼が笑って、ジェドがピキリと青筋を立てた。

「テメェ」

「ですが、誤解なさらず。感謝を伝えて欲しいと、私は領地の者たちに頼まれたのです。こうしてゆっくり話せる機会が、次にいつ来るか分からないですし」

亡霊事件に関しては、詳細を伏せることが決まっていた。

人がいる場所で話せないので、ベルベネット子爵はここで待っていたようだ。

「賠償の件も、グレインベルトの領主から早々に全額の支給があって驚きました。ギヴォットの役場にも労いの手紙を送っただけでなく、迅速に外部機関に調査を進めさせ、あっという間に全ての事務項目も終わらせたようですね」

それもあって、ジェドは帰還直後から忙しくしていたらしい。ひっきりなしに手紙のやりとりもして、カルロに騎獣しての出入りも多かった。

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