平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
獣騎士の一人が、唐突にソファの横に両手を突っ込んだ。そこから引っ張り出されたのはシモンだった。

「シモン君、そんなところに座っていたのっ?」

リズは驚いたし、呆気にも取られてしまった。シモンは皿を抱え、ひたすら菓子をもぐもぐ食べていた。

「んぐ? んぐぐ?」

ようやく状況に気づいたのか、シモンが尋ね返すような声を上げてきた。

でも、何を言っているのか分からない。

「シモン君……」

ちょっと気が抜けてしまった。獣騎士たちも、ぴりぴりしていたコーマックまで肩を落としている。

「だから、『行っていいの?』て聞いたんだけど」

「いや、全然聞き取れなかったわ。見てみろリズちゃんの困った顔を」

「というかお前、菓子に夢中になってんなよ……ったく、使用人にもすっかり気に入られやがって」

「だって俺、お前らよりイケメンなんだもん」

シモンがけろっと答えた。獣騎士たちがまたしても精神的なダメージを受けて静かになっていると、彼は皿をテーブルに置きリズの方へと駆ける。

「それでさ、一緒に行っていいってほんと? 俺、お姉さん好きだから大歓迎! なんなら、特別にエスコートするよ~――痛い!」

いつの間にか、ジェドが後ろにいてシモンの襟首を掴んで引き留めていた。拳骨を落とした手を、ギリィッと固めて見下ろす。

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