平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
向こうにある木皿や、あちらの首飾り、そして魔除けと書かれた香水のビンにも一輪の薔薇の模様が刻まれていた。
その時だった。雑踏の中、不意にリズの耳に声が聞こえてきた。
「――知らないのかい? ふふ、青い薔薇は魔女を示すのさ」
人混みの中のはずなのに、その〝音〟はよく耳に入った。
それは、白獣の女王と会話していた時のことをリズに思い出させた。
「存在しない、ありえない薔薇。だから、魔女のシンボルになった」
吐息が首に触れ、ゾッとして振り返った。
でも、そこには艶っぽい声を出す女性の姿はなかった。
不安で胸がどくどくと言っている。今の声はなんなのか。幻聴にしてはあまりにもリアルで、完全にリズに話しかけていたように思う。
「魔女の、シンボル……?」
その時、振り返ってきたコーマックが、突然頭の中の霧でも晴れたみたいに大きな声を上げた。
リズはびっくりしたし、シモンも珍しそうに目をまん丸くする。
「そういえば青い薔薇は、どの書物でも魔女の代名詞として描かれていて、魔法の箒と同じくらいよく知られているものでした」
「そう、なんですね。魔女の……」
「確かに、あの店主の言う通り『よくあること』なんですよ。以前は、青い薔薇のハンカチも王都近郊で流行ったのを思い出しました」
不安を見て取ったのか、コーマックが和ませるようにそう言った。
その時だった。雑踏の中、不意にリズの耳に声が聞こえてきた。
「――知らないのかい? ふふ、青い薔薇は魔女を示すのさ」
人混みの中のはずなのに、その〝音〟はよく耳に入った。
それは、白獣の女王と会話していた時のことをリズに思い出させた。
「存在しない、ありえない薔薇。だから、魔女のシンボルになった」
吐息が首に触れ、ゾッとして振り返った。
でも、そこには艶っぽい声を出す女性の姿はなかった。
不安で胸がどくどくと言っている。今の声はなんなのか。幻聴にしてはあまりにもリアルで、完全にリズに話しかけていたように思う。
「魔女の、シンボル……?」
その時、振り返ってきたコーマックが、突然頭の中の霧でも晴れたみたいに大きな声を上げた。
リズはびっくりしたし、シモンも珍しそうに目をまん丸くする。
「そういえば青い薔薇は、どの書物でも魔女の代名詞として描かれていて、魔法の箒と同じくらいよく知られているものでした」
「そう、なんですね。魔女の……」
「確かに、あの店主の言う通り『よくあること』なんですよ。以前は、青い薔薇のハンカチも王都近郊で流行ったのを思い出しました」
不安を見て取ったのか、コーマックが和ませるようにそう言った。