平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
「浮かれているのは分かるのよ。……その、それは嬉しくも思うの。本当に、好いてくれているんだな、て」
一緒に暮らすことになったら、朝に目が覚めて『おはよう』と今のように一番に挨拶できることを、リズ自身だって心待ちにしている。
でも、まだ慣れないのだ。
ジェドの温もりを感じるたび、初めてのことようにドキドキする。
【準備だって進んでいるのに、実感がないのか?】
少し考え、カルロがガリガリとそう書いた。
「うっ。そこは実感させられているわよ」
結婚の準備は着々と進んでいて、本当に彼の妻になるんだ、とも思える。
でも同時に、いまだ彼の妻になる実感は湧かずにもいた。自分でいいのか?という迷いも、そうさせているのだろう。
けれど、カルロを心配させそうでそんなことは口にできない。彼は賢いだけでなく、よく人や獣を見て考えていると最近気づいたから。
「引越しの準備も、結婚式も全部用意してもらっていて、悪いなって」
リズは、代わりにそんなことをごにょごにょと続けた。
すると考える間も置かず、カルロが再びガリガリと書く。
【気にするな。オスがすることだ】
獣的だが、なんだか的も射ている意見だ。
「カルロって、かっこいいわよね」
「ごほっ」
カルロ相手だと緊張もなくて、思ったことを口にしたら彼が咽せた。大人の白獣が咳込むのを見たのは初めてで、リズはびっくりした。