平凡な私の獣騎士団もふもふライフ4
この前の、アデルモウス侯爵邸の一件も脳裏に蘇った。

平凡な女の子なのに、彼は一人の男としてリズをとても触りたいと思ってくれたのだ。それくらいに、彼にとって自分は好きな女性なのだろう。

リズは、熱くなった顔に両手をあてて俯く。

どうしよう。嬉しいと思ってしまうし、でも恥ずかしいし――。

「ふんっ」

「えっ、何……ひぇえ!?」

カルロに合図され、向こうを見やって心臓がはねた。

社交の外出予定について、父のヴィクトルと話し合っていたジェドが、屋敷の方からこちらへと向かって来る。

「リズ。それからカルロと少し出かけてくるが、早く戻るから――」

ジェドの、柔らかな低い声。

それにひきずられて、朝の甘い声が思い出された。朝っぱらから欲情を? リズはみるみるうちに耳まで真っ赤になった。

「だ、団長様のっ、けだものぉおぉおぉ!」

気づけば羞恥に目まで潤ませ、リズはその場から逃走していた。



こうして別邸で同じ屋根の下、外出する際の『いってきます』が密かな楽しみになっていたから、ジェドは置いて行かれたショックで固まった。

「……カルロ。相談を受けていたようだが、リズに何を言った?」

ジェドが目を向けると同時に、カルロが顔を横にそらした。

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