吸血鬼くんと、キスより甘い溺愛契約〜無気力なイケメン同級生に、とろけるほど愛されています〜
「……あ、そーだ。俺も部屋に荷物持ってこないと」
そっか。音季くんは、もともと人間と契約するつもりなかったんだ。
わたしとは違って、数日前に入寮の手続きをすませて、男子寮に荷物を運んでるみたいで。
「ご、ごめんね。荷物の移動とか大変だよね。よかったらわたしも手伝うよ……っ!」
「……いーよ。真白は自分の荷物片づけてなよ」
そう言って、音季くんは部屋を出ていった。
とりあえず、生活に必要なものだけを持ってきたので、キャリーケースから取り出して、片づけたら意外とすんなり終わった。
音季くんは、なかなか戻ってこない。
そういえば、特別寮は他の生徒がいる寮とかなり離れた場所にあるって音季くんが言っていたから。
「わたし迷惑かけてばっかりだ……」
出会って早々こんなわたしのために契約までしてくれて、そのおかげで自主退学は免れたわけだし。