吸血鬼くんと、キスより甘い溺愛契約〜無気力なイケメン同級生に、とろけるほど愛されています〜
そこに立っていたのは、この学園の制服を着た男の子。
まるで風みたいに現れてびっくり。
「……ちょっともらっていい?」
「へ……っ?」
もらうっていったい何を?って思ったけど、そんなの聞く隙も与えてもらえなくて。
スッとわたしの右手を取って、そのまま指先にキスを落としてきた。
いきなりのことにびっくりで、思わず目を見開いて固まったまま。
キスをされたことにも、びっくりしてる。
でも、それ以上に驚いているのは……。
「ん……やっぱり甘いね」
さっき、バラのトゲで切った指から流れている血を、軽く舐めているから。