僕は、心の中の君と永遠に…
改札を通り、少し歩いたところに父の会社があるという。辺りを見渡すと、大きいビルなどはないが、小さな建物が沢山並んでいる。ちなみに、僕は前回、父さんに会いに行った時のことはよく覚えていない。ただ、なぜか父の顔は鮮明に覚えている。あの、悲しい顔は忘れもしない。
少し歩いたところで母が、
「ここがお父さんの職場よ」
母がそう言いながら指を指しているところを見てみる。とても、大きい会社とは思えない。やっぱり僕のことで苦労してるんだな、と改めて感じさせる。そのビルの四階に父がいるというので階段を上がる、がなかなか辛い。着いた時には心臓がすごい音をしていた。これでは階段を上がるのに疲れたのか、父と会うのに緊張してるのか自分でも分からない。
心の準備ができてないのに、母がドアをノックして扉を開け、中に入る。仕方ないので僕も続いて中に入る。
「お邪魔します……」
< 116 / 254 >

この作品をシェア

pagetop