みなみ東北への旅〜序章
青森駅のすべてのホームには列車が入り、連絡船からの乗客を待っていた。
どれも長距離列車ばかりで、編成も長い。
実に壮観である。

4:50発特急「はつかり1号」上野行きは3番線、同じ4:50発特急「白鳥」大阪行きは4番線、4:53発特急「みちのく」上野行きは2番線、5:09発急行「十和田51号」上野行きは1番線という陣容である。
ホームの1番線と2番線、3番線と4番線がそれぞれ同じ島ホームになっている。
青森駅では行き先が同じで、同じ種類の列車が、同じ島ホームに並ぶことは決してない。乗客の誤乗を防ぐためである。

夜が明けて少しずつ明るくなってきた。
青森駅の朝は早い。ホームではすでに蕎麦屋が店を開け、何人もの駅弁売りの「べんとぅー、べんとぅー」の掛け声がホームに響いている。
連絡船からの乗客が、それぞれ列車に収まってゆく。

「はつかり1号」に乗った。
この旅の目的は、東北みなみ3県、福島、宮城、山形を巡る歴史と乗り鉄の旅である。
2年前、東北きた3県を旅した続編で、これで東北旅がおおまかではあるが完結する。
この列車で一気に南下して、福島駅で降りる。そして急行と各駅停車を乗り継いで、夕方には、会津若松に着く予定だ。

1975年7月
若かりし、高1の夏の旅である。










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